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双極性障害とは?うつ病との違い・気分安定薬による治療と継続通院の重要性

[2026.06.16]

「うつ」だと思っていたら双極性障害(双極症)?──うつ病との違いと治療・通院

「治療を続けているのに、気分の波がなかなか落ち着かない」。そんなお悩みをお持ちではないでしょうか。実は、うつ病だと思っていた状態の背景に、双極性障害(双極症)が隠れていることがあります。本記事では、両者の違いと治療・通院の考え方を、丁寧にご説明いたします。

双極性障害(双極症)とはどんな病気ですか?

双極性障害(双極症)は、気分が高ぶる「躁(そう)状態」と、気分が落ち込む「うつ状態」が、時期を変えて繰り返し現れる病気と考えられています。あくまで一般的な説明であり、症状の現れ方には個人差があります。

双極性障害は、誰もが日常で経験する気分の浮き沈みとは異なり、症状がより強く、ある程度の期間続き、仕事や対人関係などの生活に支障をきたしやすいとされています。気分が高ぶる時期には、眠らなくても元気に過ごせる、次々とアイデアが浮かぶ、いつもより多弁になる、お金を使いすぎてしまうといった変化がみられることがあります。一方で、落ち込む時期には、強い気分の沈みや意欲の低下が現れるとされています。日本における生涯有病率は0.4〜0.7%程度、つまりおよそ100人に1人弱とする報告があります(国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト)。発症年齢は10代後半から20代前半が多いとされ、性別による差は明確ではないと報告されています。決して特別まれな病気ではなく、適切な診断と治療によって、症状とうまく付き合っていくことが目指せると考えられています。

うつ病と双極性障害は何が違うのですか?

大きな違いは、「うつ状態だけが現れるか」「気分の高ぶる時期も伴うか」にあると考えられています。ただし、見分けには専門的な評価が必要であり、自己判断は難しい場合があります。

一般にうつ病(単極性のうつ病)は、うつ状態のみが認められるとされています。これに対し双極性障害では、うつ状態に加えて、気分が高ぶる「躁状態」または、それより程度の軽い「軽躁状態」が、時期を変えて現れる点が特徴とされています。困った点として、双極性障害のうつ状態は、うつ病のうつ状態とほとんど見分けがつかないことが多いと指摘されています。そのため、初診時の一時点の症状だけでは判断が難しく、これまでの経過や、過去に気分が高ぶった時期がなかったかなどを、丁寧にうかがう必要があるとされています。治療面でも違いがあり、両者では中心となるお薬の考え方が異なります。次の項目で触れるとおり、双極性障害のうつ状態に抗うつ薬を用いると、かえって状態が不安定になる場合があると報告されており、両者を見極めることが大切と考えられています。

なぜ双極性障害は気づかれにくいのですか?

気分が高ぶる「軽躁状態」が、本人にとって「調子が良い時期」と感じられやすく、見過ごされやすいためと考えられています。気づきには周囲からの情報も助けになる場合があります。

双極性障害には、激しい躁状態を伴うⅠ型と、程度の軽い軽躁状態を伴うⅡ型があるとされています。とくにⅡ型の軽躁状態は、「いつもより調子が良い」「仕事がはかどる」といった前向きな状態として体験されやすく、ご本人が不調として自覚しにくいと指摘されています。多くの方は、つらいうつ状態のときに受診されるため、過去の軽躁の時期が話題にのぼりにくく、結果としてうつ病と捉えられやすいと考えられています。こうした事情から、双極性障害が正しい診断と適切な治療に至るまでに、平均しておよそ7.5〜9.6年を要したとする報告もあります(国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト)。期間には個人差があります。ご家族など周囲の方が気づいた気分や行動の変化が、診断の大切な手がかりになることがあるとされています。気になる時期があった場合は、遠慮なく医師にお伝えいただくとよいでしょう。

双極性障害の治療にはどんな方法がありますか?

お薬による治療と、生活面を支える心理社会的な支援を組み合わせて進めるのが一般的と考えられています。治療内容は状態によって異なり、効果の現れ方には個人差があります。

双極性障害の薬物療法では、気分の波を和らげる「気分安定薬」が中心的な役割を担うとされています。状態に応じて、一部の抗精神病薬が用いられることもあると報告されています(日本うつ病学会診療ガイドライン 双極症2023)。うつ病で中心となる抗うつ薬とは考え方が異なる点が、治療上の大きな特徴とされています。お薬の選択や組み合わせは、躁状態・うつ状態・安定した時期のいずれかによって変わるため、医師が状態を確認しながら調整していきます。あわせて、病気の特徴や対処法を学ぶ心理教育や、生活リズム・睡眠を整える工夫といった心理社会的な支援も、再発予防の観点から大切にされています。具体的には、次のような柱で治療が組み立てられると考えられています。

  • 薬物療法:気分安定薬を中心に、状態に応じて調整しながら気分の波を和らげていきます。
  • 心理社会的支援:病気への理解を深め、生活リズムを整えることで再発の予防を図ります。
  • 状態のモニタリング:定期的な診察で気分の変化を確認し、治療を見直していきます。

双極性障害ではどのくらい通院や治療を続けるのですか?

症状が落ち着いた後も、再発を防ぐために、ある程度の期間、治療と通院を継続することが望ましいと考えられています。続け方は一人ひとり異なり、医師とご相談のうえ決めていきます。

双極性障害は再発しやすい特徴があるとされ、症状が安定した後も、再発予防を目的とした「維持療法」が大切と考えられています(日本うつ病学会診療ガイドライン 双極症2023)。調子が良くなると治療をやめたくなることもあるかと思いますが、自己判断で中断すると、気分の波が再び現れやすくなる場合があると報告されています。定期的な通院には、気分の状態を医師とともに確認し、変化の兆しを早めにとらえて対応していくという意義があるとされています。お薬の量や種類も、その時々の状態に合わせて見直していく必要があります。治療を続ける期間には個人差があり、一律に決まっているわけではありません。だからこそ、ご自身の状態や生活に合わせて、医師と相談しながら無理のない形で続けていくことが大切と考えられています。長く付き合っていく病気だからこそ、安心して相談できる通院先を持つことが、安定した毎日への支えになると考えられています。

まとめ

うつ病だと思って治療を続けていても、気分の波がなかなか落ち着かない場合、その背景に双極症(双極性障害)が隠れていることがあります。両者はうつ状態がよく似ているため見分けが難しく、とくに軽躁状態は気づかれにくいとされています。だからこそ、これまでの経過を含めた丁寧な評価が大切と考えられています。

双極性障害は、気分安定薬を中心とした治療と、生活を支える支援、そして定期的な通院を続けることで、症状とうまく付き合っていくことが目指せると考えられています。気分の波に長く悩まされている、治療を続けても今ひとつ手応えがない──そう思ったときが受診のタイミングです。あなたの安定した毎日を、一緒に考えていきます。

記事監修者について

山﨑 龍一

こころの港クリニック京橋・東京駅前 院長
医学博士
日本専門医機構認定精神科専門医
日本精神神経学会精神科専門医制度指導医
精神保健指定医

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