双極性障害
双極性障害はどんな病気ですか?
双極性障害は、気分が異常に高揚する「躁状態」と、気分が落ち込む「うつ状態」を繰り返す疾患です。
これらの状態は通常、数日から数週間持続し、日常生活や社会活動に大きな影響を及ぼします。
日本では1%弱の人が生涯のうちで双極性障害を経験するとされ、数十万人単位で患者さんがいると推定されています。
好発年齢は10代後半~30代で、うつ病よりもやや若い人に多いとされています。
ただし、正確な診断が難しく、特に「うつ状態」が長いタイプの場合、うつ病と区別がつきにくいケースも少なくありません。
双極性障害でよくみられる症状は?
双極性障害の症状は、躁状態とうつ状態に分けられます(DSM-5を参考)。
躁状態(または軽躁状態)
気分の高揚
異常に元気でハイテンション、過剰な自信。
行動の活発化
睡眠時間が3~4時間程度でも眠気を感じず、活動量が増える。
衝動的な行動
無計画な買い物や投資、危険な行動に走ることがある。
攻撃性や短気
普段では考えられないような言動から、他者とのトラブルが増える。
うつ状態
抑うつ気分
持続的な悲しみや絶望感。
興味や喜びの喪失
普段楽しめる活動に対して無関心になる。
疲労感と無気力
日常的な活動も困難になる。
自殺念慮
自分を責める気持ちや死にたいという思考が強くなる。
躁状態と比べて、うつ状態の期間が長く続くことが多いですが、どちらの状態も個人によって大きな差があります。
双極性障害の治療にはどんな選択肢がありますか?
薬物療法
気分安定薬
気分の波を抑える基本的な薬で、通常は躁状態とうつ状態の両方を予防することを目的に使用されます。
抗精神病薬
一部の抗精神病薬は、急性期の躁状態やうつ状態を改善するだけでなく、再発予防の効果が期待できるものもあります。
抗うつ薬
うつ状態の治療に用いられることがありますが、躁転(躁状態になってしまうこと)のリスクがあるので、慎重に用いられます。
精神療法
- 症状による辛さに寄り添い、回復のサポートを行います。
- 病気や治療に関する知識を身に着け、自分で症状に対処したり、治療を管理したりする方法の獲得のお手伝いをします。
生活リズムの管理
- 睡眠や食事、運動など、規則正しい生活を維持することが重要です。
- ストレスの管理も症状の安定化に役立ちます。
環境調整
- 職場や学校での支援を受けることで、症状をコントロールしやすくなります。
双極性障害の経過は?
双極性障害は慢性的な病気で、治療が必要な期間は長期にわたります。
症状の持続期間
躁状態やうつ状態は通常数週間から数ヶ月続きますが、適切な治療によって短縮することが期待できます。
一般的にうつ状態のほうが長引きやすく、長い治療期間を要することがあります。
注意点
双極性障害は非常に再発しやすい病気です。
一般的には長期に気分安定薬などの薬を内服する必要があります。
薬の服用を自己判断で中断すると、再発につながる可能性が高まります。