強迫性障害
強迫性障害はどんな病気ですか?
強迫性障害は、自分でも不合理と分かっていても止められない「強迫観念」と、それを打ち消そうとする「強迫行為」が特徴の精神疾患です。
例えば、「手や物が汚れているのでは」という強迫観念に対して、「長時間手洗いを繰り返す」という強迫行為を行うなどが挙げられます。
この状態が日常生活や仕事に支障をきたす場合、治療が必要となります。
日本では、人口の約2~3%が一生のうちに強迫性障害を経験するとされ、厚生労働省の調査では全国に5万人以上の患者がいるとされています。
好発年齢は10代後半から20代前半で、男女ともに発症します。
やや慢性化しやすい疾患ですが、適切な治療により症状の改善が期待できる疾患です。
強迫性障害でよくみられる症状は?
強迫性障害の主な症状は以下の通りです
強迫観念
自分の意思に反して繰り返し浮かんでくる、不安や苦痛を引き起こす考えやイメージ。
例
- 「手が汚れているのではないか」という強い不安
- 「火の元を確認し忘れたかもしれない」「家の鍵をかけ忘れたかもしれない」という疑念
- 他人を傷つけてしまうイメージが浮かぶ恐怖感
強迫行為
強迫観念を和らげるために行う反復的な行動や精神的な儀式。
例
- 手を何度も洗う、あるいは長時間洗い続ける
- 戸締まりや火の元を過剰に確認する
- 物を特定の順序で並べ直す
強迫性障害の治療にはどんな選択肢がありますか?
薬物療法
抗うつ薬(SSRI: 選択的セロトニン再取り込み阻害薬 など)
強迫観念や不安を軽減し、症状をコントロールするために最も広く使用されています。
効果が現れるまでに数週間かかることが一般的です。
精神療法
認知行動療法(CBT)
強迫観念を引き起こす認知の歪みを修正し、強迫行為を減らすことを目指します。
特に「暴露反応妨害法」が代表的です。
患者が不安を引き起こす状況に段階的に直面し、強迫行為をしないで我慢をする訓練を行います。
強迫性障害の経過は?
強迫性障害は慢性的な経過をたどることが多く、未治療の場合、症状が徐々に悪化しつつ経過することがあります。
しかし、適切な治療を受けることで症状をコントロールし、日常生活への影響を最小限に抑えることが可能です。
治療期間
薬物療法と精神療法を併用した場合、多くの患者が数ヶ月で症状の改善を感じますが、再発を防ぐために長期的な治療が必要になることもあります。
注意点
症状が改善した後も再発予防目的で比較的長期に薬物療法を継続する場合があります。
そのため治療を自己判断で中断すると再発リスクが高まります。