月経前症候群(PMS)/月経前不快気分障害(PMDD)
月経前症候群(PMS)/月経前不快気分障害(PMDD)はどんな病気ですか?
月経前症候群(PMS)は、月経の約1~2週間前に現れる身体的・精神的な不調を特徴とする症状群です。
一方、月経前不快気分障害(PMDD)は、気持ちの落ち込みや強い不安などPMSよりも重い精神的な症状を伴い、日常生活や社会活動に支障をきたします。
PMSは月経のある女性の50~80%に見られる一般的な症状ですが、PMDDは約2~6%の方に該当するとされています。
「月経に伴う避けられない症状だ」と考えている方も多いですが、実は適切な治療を受けることで症状を大きく緩和することが期待できます。
月経前症候群/月経前不快気分障害でよくみられる症状は?
PMSとPMDDでは症状の種類は似ていますが、PMDDでは特に精神的症状が顕著で、重症化しやすいのが特徴です。
以下は代表的な症状です。
からだの症状
- 腹痛や腰痛、頭痛
- 乳房の張りや痛み
- むくみ、体重増加
- 疲労感
こころの症状
- イライラや怒りっぽさ
- 気持ちの落ち込み、無気力
- 不安感や緊張感
- 集中力の低下
行動面の変化
- 食欲の変化(過食や甘いものを欲する)
- 睡眠障害(不眠または過眠)
- 社会的な引きこもり
PMDDではこれらの症状が極めて強く、仕事や人間関係などに深刻な影響を与えることが特徴です。
月経開始後は症状が急速に軽減または消失することが多いです。
月経前症候群/月経前不快気分障害の治療にはどんな選択肢がありますか?
特にPMDDの場合に、抗うつ薬などの精神科的な治療が行われる場合が多いです。
薬物療法
抗うつ薬(SSRIなど)
PMDDの治療に特に効果があり、不安感や抑うつ症状を軽減します。
月経周期に合わせて一定期間のみ服用する方法もあります。
低用量ピル(経口避妊薬)
ホルモンバランスを整え、PMSやPMDDの症状を軽減する効果があります。
鎮痛薬
腹痛や頭痛などのからだの症状に対して使用されます。
漢方薬
症状に合わせて、加味逍遙散などが処方されることがあります。
生活習慣の改善
- バランスの良い食事や定期的な運動、十分な睡眠は、PMSやPMDDの症状を和らげるのに役立ちます。
- アルコールやカフェインの摂取を控えることで、緊張感やイライラを軽減する場合があります。
月経前症候群/月経前不快気分障害の治療で気をつけることは?
PMSやPMDDは月経周期と密接に関連しているため、症状の記録を取ること(症状日記)で、治療の効果を測定しやすくなります。
婦人科と精神科・心療内科で別々に治療を受けるケースも少なくないため、例えば処方が変わった際の情報共有などは注意が必要です。