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【通院費が安くなる?】自立支援医療とはどんな制度なのか?

[2026.04.02]

精神科や心療内科に通い始めたとき、「医療費が毎月かかるのが心配…」と感じる方は少なくありません。そんな方にぜひ知っていただきたいのが「自立支援医療」という制度です。うまく活用すると、通院にかかる費用の負担がぐっと軽くなる可能性があります。


自立支援医療とはどんな制度なのか?

こころや身体の病気で通院治療を続ける方の、医療費の自己負担を国が助けてくれる制度です。

「自立支援医療」は、障害者総合支援法という法律にもとづく、公費負担医療制度のひとつです。わかりやすく言うと、「病気や障害があっても、お金の心配を少なくして、必要な治療を続けられるようにしよう」という国の仕組みです。

この制度には3つの種類があります。

  • 精神通院医療:精神科やこころの診療所に通っている方を対象にしたもの
  • 更生医療:身体に障害のある18歳以上の方を対象にしたもの
  • 育成医療:身体に障害のある18歳未満のお子さんを対象にしたもの

精神科のクリニックに通われている方にとって特に関係が深いのは、このうち「精神通院医療」です。本記事では、精神通院医療を中心にご説明していきます。

(情報は2026年3月現在のものです。正確な情報は各自治体などにお問い合わせください。)


どんな人が使える制度なのか?

精神科やこころのクリニックに通院しながら、継続的な治療が必要な方が対象です。

精神通院医療の対象となる主な疾患は以下のとおりです。

  • うつ病・双極性障害(躁うつ病)
  • 統合失調症
  • 不安障害・パニック障害
  • 強迫性障害
  • 適応障害
  • てんかん
  • アルコールなどの依存症
  • 発達障害(ADHDや自閉スペクトラム症など)

これらの病気で「通院による治療を継続的に受ける必要がある」と医師が判断した場合に、申請することができます。入院中の治療ではなく、あくまで通院でのケアが対象という点がポイントです。

「私の状態で使えるのかな?」と不安に思う方は、まずかかりつけの医師に相談してみてください。


医療費はどのくらい安くなる?

通常は3割の自己負担が、原則1割に軽減されます。さらに、月ごとの上限額も設けられています。

日本の医療保険では、多くの方が医療費の3割を窓口で支払います。自立支援医療を利用すると、この自己負担割合が原則1割になります。

さらに、世帯の収入(住民税の課税状況)に応じて、月ごとの支払い上限額が定められています。上限に達すると、その月はそれ以上の負担が発生しません(厚生労働省の制度概要より)。

世帯の所得区分の目安 月額の自己負担上限
生活保護受給世帯 0円(負担なし)
市区町村民税が非課税の世帯 2,500円または5,000円
市区町村民税課税(低所得)の世帯 5,000円または10,000円
一定所得以上の世帯 20,000円(重度かつ継続の場合)

※上記はおおよその目安です。詳細は申請先の窓口にてご確認ください。

また、「重度かつ継続」と認定された方(症状が重く、長期的な治療が必要な方)は、より高い所得の方でも制度の適用を受けられる経過的特例が、令和9年(2027年)3月末まで延長されています(厚生労働省、2024年)。薬局での処方薬の費用も対象に含まれるため、毎月の薬代が気になっている方にとっても助かる制度です。


申請するにはどうすればよいのか?

お住まいの市区町村の窓口に、医師の診断書などを持って申請します。

申請の流れはおおむね以下のとおりです。

  1. かかりつけの医師に相談する
    「自立支援医療を申請したい」と伝えると、所定の診断書を作成してもらえます。
  2. 必要書類をそろえる
    主に必要なものは次の通りです。
    • 自立支援医療用の診断書(医師が作成)
    • 申請書(窓口でもらえます)
    • 健康保険証
    • マイナンバーがわかる書類
    • 世帯の収入がわかる書類(住民税課税証明書など)
  3. お住まいの市区町村の窓口に提出する
    市区町村の障害福祉担当課や保健センターが窓口になることが多いです。
  4. 審査の後、受給者証が届く
    申請から受給者証の交付まで、おおむね1〜2か月程度かかることがあります。申請が受理された日から遡って適用されることが多いので、早めに手続きをとることをおすすめします。

受給者証の有効期間は1年間です。引き続き利用したい場合は、有効期間が切れる前に更新手続きが必要です。有効期間の満了日の3か月前から更新申請ができます。


よくある疑問・心配ごと

「申請すると何か不都合なことがあるの?」「手続きが難しそう…」という声はよく聞かれます。

自立支援医療に関して、患者さんからよく寄せられるご心配をまとめました。

「申請すると、会社や家族にバレてしまわないか?」
自立支援医療の受給者証は、申請した本人が管理するものです。受給者証の情報が会社や職場に自動的に通知されることはありません。ただし、健康保険を使う場合は保険組合に情報が届く場合があるため、心配な方は窓口でご相談ください。

「通院を始めてすぐでも申請できる?」
通院期間の制限は特に設けられていません。通院による継続的な治療が必要と医師が判断した時点で、申請の対象となります。

「手続きが複雑で、一人ではできなそう…」
申請窓口のスタッフがサポートしてくれます。一人で抱え込まずに、まず相談してみてください。


まとめ

自立支援医療(精神通院医療)は、精神科や心療内科への通院を必要とする方の医療費負担を大きく軽減できる制度です。通常3割の自己負担が1割になり、さらに月ごとの上限も設けられているため、長期的に通院を続けやすくなります。

「自分が使えるかどうかわからない」「手続きが不安」という方も、まずはかかりつけの医師やクリニックのスタッフに一言声をかけてみてください。制度をうまく使いながら、焦らず、ゆっくりと治療に取り組んでいただけることを願っています。

一人で悩まず、まずは相談を。あなたのそばには、サポートしてくれる人がいます。


 

参考資料
自立支援医療(精神通院医療)の概要|厚生労働省
自立支援医療制度の概要|厚生労働省
自立支援医療(精神通院医療)について|東京都福祉局

記事監修者について

山﨑 龍一

こころの港クリニック京橋・東京駅前 院長
医学博士
日本専門医機構認定精神科専門医
日本精神神経学会精神科専門医制度指導医
精神保健指定医

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